どうも管理人です。
1、実験期間とエリア
2.なぜ今、料金を変えるのか
3.料金が変わることで…
6.参考資料
先日、「都内で試験的にタクシー運賃が値下げになった」という報道がありました。
今日は、この話について見ていきたいと思います。
タクシー運賃を、初乗り410円へ
「タクシーの初乗り運賃を410円とする実験を行う」ー
これについて、新聞各社が報道をしています。日経新聞(リンク)[2]
それから、半年が過ぎた8月5日。
都内2か所で実験がスタートしたとNHK(リンク)が報道しました。
今回は、その情報をもとにしながら、考えていきます。
1、実験期間とエリア
今回の実験は、8~9月の期間限定で実施されます。
また、「実験」である為、特定の乗車場からしか乗れません。
その場所と期間について、まずまとめていきましょう。
表0 実験場所
全期間を通じて行うのは新橋駅のみ。
それ以外は、14日ごとに場所を移しますね。
この記事を執筆した16年8月19日には新宿駅にその地点は移動しています。
図1 実験場所を地図上で表すと
対象エリアを見ると、23区内の東西南北各地で実験が行われることになります。
今回の目的は需要拡大だそうで。
短距離利用者ー具体的には「お年寄り」「サラリーマン」「観光客」がターゲットだとか。
確かに、新橋はサラリーマンが多いイメージ。
他の点でも、ターゲットとしている3者に乗ってもらいやすい位置かもしれません。「チョイ乗り」が期待できそうなエリアになっていますね。
2.なぜ今、料金を変えるのか
今回の料金改定は「短距離利用者を増やす」事が一つのテーマの様です。
タクシーの利用状況は、年々悪化しているようです。
東京タクシーハイヤー協会資料(リンク)を基に見ていきましょう。[4]
平成元年に約4.2億人いたタクシー利用者は、平成27年には約2.7億人と約36%減少。
また、1人当たりの営業キロも元年には平均5.1kmだったものが、平成27年には約4.1kmまで減少しています。
まずはタクシーに乗ってもらうことから。
このやり方はバスで行われている「ファミリー運賃」「休日50円割引」などの利用促進策に似ていますね。
3.料金が変わることで…
今回の料金改定で2km以下の運賃が値下げされます。
一方で、計算式が変わるので長距離では値上げになるのではという声もあります。
ここでは、どのくらい変わるのか、見ていきたいと思います。
旧体系(現行の運賃)では、以下の様な料金体系でした。
・初乗り2000mが 730円
・以後、280m毎に 90円
新体系(実証試験)では、以下の様に変わります。
・初乗り1059mが 410円
・以後、237m毎に 80円
この数値を見ると一見、全体的に値下げされたように見えます。
しかし、詳しく見ていくとそうでもないようなのです。
この運賃を1m毎の料金にしてみると、詳しく解かります
<参考> 1m当たりの運賃 (筆者作成)…うーん、実際は5%程度の値上げとなっているわけですか。
初乗運賃 … [現行]0.365円 → [実験] 0.387円(約6%値上げ)
加算運賃 … [現行]0.321円 → [実験] 0.337円(約5%値上げ)
厳しい状況なのは分かりますが。
4.実際どのくらい変わるのか
事実上の値上げでは?
という仮説があるわけですが、とりあえずそれは置いておくとして。
距離毎に払う金額はどれくらいになるのか、調べてみました。
仮にタクシーでノンストップ20km走った場合、いくらになるのでしょうか?
表1 メータが回る地点での料金比較(筆者作成)
この表を見ていると、距離別の料金比較はできますが読みにくいですね。
そこで、1km毎にどのくらいの料金になるのか。差はどれくらい出るのか。
まとめてみました。
表2 1km毎の料金比較
旧体系(現行運賃)と新体系(実験運賃)では、2kmと4kmで差が0円となっています。
これは、今の平均乗車距離が4.1kmということに絡んでいるのでしょうか。
しかし、それ以降の距離になると差が開いていきます。
5000円札1枚で行ける距離は、現行15km程度が新体系では14kmと1kmダウン。
もし20km乗車した際には、310円の差額が発生します。
一方で、値上げ幅には距離によってばらつきがあるようです。
5.実験によってどうなるのか。
今回の実験は2016年9月15日まで。
その結果をもとに、2016年12月に値下げするかどうかを決めるそうです。
今回の案、次のような人にはメリットがあるような気がします。
・生活圏が、駅や自宅から2km圏内で移動が済む人
・タクシーに乗った経験のない人
・タクシー代を「車の維持費と思えば」と割り切った人
目的を考えると、「今までより安く乗れる」というイメージは、利用者を一時的に増加させると思います。
しかし、都市部以外でタクシーを使うのは次の様な人ではないでしょうか。
・足が悪い人や、体調が悪い人
・歩くのには距離があり、バスがなくショートカットしたい人
・グループ移動中、割り勘でバスよりも安くいきたい人
そうなってくると、事実上の値上げとなるのは苦しいな…とも思えます。
とはいえ、物価が上昇したり、燃料価格が上昇したり、人件費が上昇したりする今日。
今まで通りの料金形態では、首が回らなくなるのも理解できます。
難しい問題だなぁ、と感じますね。